しあわせのおすそわけ

むかしむかし、観音さまは、人々に幸せを分け与えることにしました。しかし、観音さまは幸せという功徳を小さな「おふだ」にやどすことしかできません。「おふだ」は小さく、中にはちょうど1つのしあわせが入っています。

観音さまは、「おふだ」を地上にもって行き、人々に配ることにしました。最初は老人へ「おふだ」を渡しました。「これはしあわせのおすそわけです。たいせつにしてください」

老人は「おふだ」を受け取り、村に帰りました。「おふだ」をのぞいてみると、中には小さな小さな観音さまからの功徳が入っていました。老人は驚きましたが、「おふだ」をたいせつにしました。

次に観音さまは若者に「おふだ」を渡しました。「これはしあわせのおすそわけです。大切にしてください」

若者は「おふだ」を受け取り、村を歩きながら「おふだ」をふところにしまいました。「おふだ」の中には何もはいっていないようでしたが、若者は観音さまの言葉を信じました。

 老人と若者は「おふだ」を大切にしました。老人は「おふだ」を見つめながら、人々に優しさを示し応援を続けました。若者は「おふだ」を持ち歩き、力強く人々と助け合いました。そして老人と若者は気づいたのです。「おふだの中の徳は分け与えることで増えるということを」

 物語はひろまり、村の人々はしあわせをわけあい、「おふだ」に功徳を貯めて、もちあるくようになりました。そして村は幸せが満ちた場所になりました。老人と若者は笑顔で手を取り合い、観音さまに感謝しました。彼らは幸せのおすそわけを大切にし、みんなへ徳を贈り広めることに決めました。

その小さな「おふだ」は、ひとびとの心を温かくし、幸せをひろげる功徳をもっていたのです。観音さまは少し高いところから、やさしくほほえんでいました。

にゃ~

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