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お盆を迎えて

お盆を迎えて

お盆を迎えて

― 亡き人を想い、今ある命を見つめる ―

今年のお盆合同供養では、亡き人を想うことについてお話をさせていただきました。

大切な方を亡くしたあと、日々の暮らしは少しずつ元に戻っていきます。けれど、いつも座っていた椅子や、使っていた湯飲み、一緒に過ごした場所などを目にしたとき、ふとその方の姿を思い出すことがあります。

そしてお盆を迎えると、「今年も帰ってきてください」「どうぞ、ゆっくりしていってください」と、亡き方へ心の中で語りかけます。

お盆は、亡き方とのつながりを思い出す時間

お盆は、亡くなった方が帰ってくる日といわれています。けれど、それだけではなく、亡き方とのつながりを思い出し、自分が今日ここに生きていることを見つめ直す時間でもあるのではないでしょうか。

私たちは日々の中で、家族にしてもらったことを、つい当たり前のように感じてしまいます。食事を用意してもらったこと。学校へ行かせてもらったこと。困ったときに助けてもらったこと。

けれど、大切な方を亡くして初めて、「当たり前だと思っていたことは、決して当たり前ではなかった」と気づくことがあります。

その方がいてくださったから、今の自分がいる。命をつないでくださったから、今日ここに自分が生きている。そう思うと、悲しみの中にも少しずつ「ありがとう」という気持ちが生まれてきます。

いただいた命を大切に生きていく

亡き人を忘れないということは、いつまでも悲しみ続けることではありません。その方からいただいた言葉や優しさ、教えていただいたこと、一緒に過ごした時間を心の中に大切に持ちながら、いただいた命を大切に生きていくことなのだと思います。

嬉しいことがあったら、「こんなことがあったよ」と話しかける。好きだったものを見つけたら、「これ、好きだったね」と思い出す。

そしてお盆には、「今年も帰ってきてくれてありがとう」「私は元気にしています」「心配しないでください」「また来年、お会いしましょう」と、心の中で語りかけてみてください。

亡き方からいただいた命を大切にし、自分の今ある命を見つめ、これからの日々を生きていく。それもまた、私たちにできる大切な供養なのではないでしょうか。

終わりに

このたびのお盆合同供養では、皆さまのご先祖様、亡き大切な方々のご供養を心を込めて勤めさせていただきました。

亡き方を想いながら、今を生きる。このお盆が、皆さまにとって今ある命のありがたさを改めて感じるひとときとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

                                  合掌

                               蓬莱山長谷寺

 記事を書いた人

加藤英宗

神奈川県厚木市・蓬莱山長谷寺の住職。妙厳寺専門僧堂で3年、永平寺で1年の修行を積み、曹洞宗の教えを実践してまいりました。 葬儀や法事をはじめ、坐禅・写経・ヨガなどの体験を通して、現代の暮らしに寄り添う仏教の実践を続けています。