葬儀の会場選びでは、「公営斎場(自治体運営)」「民間式場(葬儀社運営)どちらを使うか」が大きな選択肢になります。費用・アクセス・提供サービス・使いやすさに違いがあり、家族の事情や希望によって向き不向きがあります。ここでは、それらの違いをできるだけ分かりやすく整理します。
費用の違い
公営斎場は自治体が運営しているため、会場使用料・火葬場とのセット料金・遺体安置料が比較的低めの設定です。
一方で、設備が簡素でオプション費用が別途かかることが多くあります。
民間式場は設備・立地・サービスが充実している分、使用料・祭壇代・オプションが高めです。ただし、プランに含まれるサービスが多く、追加の手続きや選択が少ないケースもあります。
費用比較の目安(地域・規模により大きく変動)
公営斎場:式場使用料+火葬料で 50~100万円前後 が一つの目安
民間式場:同規模で 100~200万円 程度、場合によってはそれ以上になることも
(ただし、民間式場でも「簡素なプラン」を使えば民間でも80万円前後という例もあります)
このように、公営のほうがコストを抑えられる可能性が高いですが、必ずしも「安い=最適」というわけではありません。
使いやすさの違い
アクセス・施設面
公営斎場:自治体管轄のため、地域に1〜2か所といった構成が多く、アクセスはやや限られることがあります。火葬場併設のことが多く、移動が少ないのはメリットです。
民間式場:駅近・駐車場完備・式場・控室・会食スペースが充実しているケースが多く、参列者の負担が少ないことがメリットです。
サービス・自由度
公営斎場:料金が明確で安心な反面、祭壇の選択・飾り付け・装飾の自由度が民間より少ない場合があります。
民間式場:祭壇・装飾・演出・サービスプランが豊富でカスタマイズもしやすいですが、選択肢が多いため判断が必要になります。
手続き・スムーズさ
公営斎場:自治体ルールに則るため「手続きが決まっている」安心感があります。ただし予約が取りにくい、空きが限られるというデメリットもあります。
民間式場:24時間相談対応・搬送・設営・進行までワンストップで依頼できることが多く、慣れていない家族には頼りになります。ただし、プラン・オプションの内容を「よく見る必要」があります。
向いている人・向いていない人
公営斎場が向いている人
費用を抑えたい
地元・地域中心の式でよい
火葬場近くで移動を少なくしたい
豪華な装飾や演出より“落ち着いて見送りたい”
公営斎場が向いていない場合
都心・駅近希望
参列者が多く式場規模を求めている
祭壇や演出にこだわりたい
柔軟な式場選び・日時を希望する
民間式場が向いている人
参列者が多い・アクセス重視
装飾・演出を含めた「思い出に残る式」にしたい
すべてをワンストップで頼みたい
民間式場が向いていない場合
費用をあまりかけたくない
地元の小さな式で十分という希望がある
花・装飾・演出がなくても構わない
長谷寺の視点
長谷寺では、葬儀の場所選びにおいて「どこで行うか」以上に、
「どのように心を整えるか」 を大切にしています。
会場が公営・民間のどちらであっても、
葬儀の日の心が落ち着いているか
家族が互いに視線を交わせているか
故人と静かに向き合う時間が持てるか
これらが、式場の条件以上に大きな意味を持ちます。
お寺の本堂を使用した
まとめ
公営斎場は費用を抑えやすく安心感があるが、演出の自由度・アクセスに限りがある場合がある
民間式場はアクセス・サービス・カスタマイズが豊富だが、費用と選択の幅が広いため判断が必要
会場選びの前に「これだけは譲れない条件」を家族で一つ決めておくとスムーズ
場所そのものより、心がその場で落ち着けるかどうかを優先する
会場を決めるとき、「どんなお別れが自分たちにとって自然か」を軸に考えると、選びやすくなります。
記事を書いた人
加藤大宗
神奈川県厚木市・蓬莱山長谷寺 僧侶。永平寺東京別院で修行を積み、慶應義塾大学を卒業後、葬儀・法事・供養などの仏事に携わる。 現在は慶應義塾大学大学院にて産業心理学の勉強中。仏教や供養に関する知識を分かりやすくお伝えする記事を執筆しています。
